この記事は配偶者ビザから帰化申請する場合について。
上記の漫画で注意点に軽く触れました。
(全部は書ききれませんでした。)
よく日本人と結婚すれば永住や帰化が簡単にできる。
うーん、個人的には簡単とは思えないですが…
(就労ビザの方がやり易いケースも…)
確かに要件が軽くなる部分があるのが事実です。
日本と結婚した人が帰化申請する時は、国籍法5条ではなく国籍法7条が適用されます。
第七条 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号及び第二号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するものについても、同様とする。
引用:E-GOV法令検索、国籍法
文書を分解すると以下の様になります。
- 日本人と結婚した外国人で3年以上日本に住所がある
- 日本人と結婚した外国人で、結婚3年以上&1年以上日本に住所あり
一般的な帰化申請は、5年以上の日本滞在と3年間の就労ビザでの就労が必要です。
日本人と結婚している人は、日本社会への定着性が高いと見なされて居住要件が緩和されています。
関連記事:帰化申請は5年必要か
緩和されるのは帰化の居住要件
日本人の配偶者等の方が帰化申請する時、居住要件と能力要件が軽くなります。
逆に言うと残りの5要件は普通に求められる形です。
- 生計要件(年収)
- 素行要件(コンプライアンス)
- 日本語能力(スムーズな会話と読み書き)
- 喪失(二重国籍だめ)
- 思想(日本国憲法の遵守と反社だめ)
これらの要件が必要になってきます。
どの要件も重要ですが、肌感覚として①~③が配偶者ビザからの場合、重要だと思っています。
(帰化出来ないのが、これら3要件が一番多いから)
関連記事:日本国籍取得の条件
日本人と結婚した方の帰化の生計要件
まずは生計要件について。
一言で言うと、本人と同居家族の資産やスキルで生活できることです。
国籍法第5条にも明記されています。
関連記事:帰化申請の年収要件
永住ビザは必要な年収がハッキリとしていますが、帰化は曖昧です。
毎月の収支バランスが壊れていないことが重要です。
今までの経験則から、帰化で必要な年収は300万円以上と言われています。
これが2年から3年間あることが求められるかと。
年収は課税証明書に書かれた所得で判断されます。
この部分は自営業の方は不利になることがあります。
関連記事:自営業の帰化申請について
また配偶者ビザの場合、申請者本人の収入がゼロでも問題ないです。
(就労ビザの帰化はアウトだけど)
この場合はパートナーの年収が審査される形になります。
日本人と結婚した人の帰化の素行要件
次は素行要件についてです。
これも国籍法第5条に書かれています。
文言は「素行が善良であること」これだけです。
曖昧がゆえに適用範囲が広いのが特徴です。
関連記事:帰化申請の素行要件
素行要件でメインになるのは、
- 税金の支払い
- 社会保険への加入と支払い
- 交通違反
- 前科がないこと
上記の4点が論点になります。
税金の支払い
納税は日本国民の義務です。
課されている税金は全部払うことが大前提。
チェックされる期間は、1年から3年間です。
関連記事:帰化申請の納税義務
直接チェックされる税目は、住民税、所得税、法人税、消費税、事業税など。
申請者や同居家族の属性で税目が増減します。
実際に審査対象となるのは、全部の税金だと思って頂ければ。
自動車税や固定資産税なども未納が発覚すると不許可になります。
配偶者ビザの場合、扶養に入っている方も居られるかと。
年収130万円を超えると扶養から外れます。
ご自身で納める必要があります。
時折、扶養から外すのを忘れられてた方も…
この場合、リカバリーに時間が必要です。
社会保険の加入と支払い
次は年金と健康保険の加入と支払いについて。
2022年から健康保険も帰化審査に加わりました。
(申請者と家族の健康保険証のコピーが必要に)
関連記事:帰化申請の年金と健康保険
日本人配偶者の扶養に入っている方、会社で厚生年金に入っている場合は特に問題は無いです。
ご自身で国民年金の加入義務と支払いがある方は話が変わります。
国民年金に加入していることと支払いっていることが重要です。
もし未加入の場合、国民年金に加入して2年~3年間の支払い実績を積み上げる必要あります。
(昔は1年間遡って払えばクリアできましたが、要件の厳格化で不可能に)
配偶者や本人、同居家族で会社経営されている場合。
会社の社会保険の加入と支払いもチェックされます。
交通違反について
次は交通違反について。
帰化申請が難しい要因の一つです。
基本的には、5年間で軽い違反が5回、直近2年に2回が限界と言われています。
軽い違反とは青切符の反則金レベルです。
関連記事:帰化申請と交通違反について
もし罰金レベルの赤切符の場合、1回でも帰化が難しくなります。
罰金や免停になった場合は3年から5年程度、期間をあける必要が出てきます。
個人的にには帰化や永住を考える方は、電車とバスにしましょうと言いたいです。
(自動車に乗る限り交通違反リスクはゼロではないからです)
警察のお世話になっていない
次は刑事処分や行政処分を受けていないことです。
帰化申請の履歴書(その2)に賞罰欄があります。
ここに処分歴が有れば記入します。
関連記事:帰化申請の履歴書(その2)の書き方
刑事罰を受けた場合、一定以上の時間をあけないと帰化は難しいと言われてます。
- 罰金刑:払い終えてから5年間~
- 執行猶予:猶予期間終了後から5年~
- 懲役・禁固:刑が終わってから10年~
概ねこの様な年数が必要です。
問題は禁固刑以上になると永久上陸拒否に該当します。
または現在の在留資格の更新も危ぶまれます。
日本人と結婚した人の日本語能力要件
次は日本語能力要件です。
日本国民である以上は、日本語が出来ることが求められます。
この要件は簡単な人には何の問題も無いですが、難しい人には本当に厳しい要件です。
概ねのレベルで言うと、小学校2年生レベルが完璧にできる水準。
関連記事:帰化の日本語能力要件について
日本語能力は法務局の担当官の中でも、必要なレベルは分かれます。
厳しい系の担当官だとN2でもキツイ、N1で合格点という人も。
私の肌感覚で言うと、法務局の事前相談や本申請、面接で担当者と意思疎通ができれば問題ないかなと。
あとは帰化の動機書が読めるレベルの文書と字のキレイさがあれば。
(日本語が書けないと動機書も書けない)
日本人と国際結婚した方の場合、ときおり日本語に不自由な人も…
配偶者ビザは強制的に日本語を使う環境に置かれません。
家の中では母国語や英語で会話、外では同国人コミュニティにどっぷり浸かっているなど。
日本語を使わなくても生活できる環境にある方は、要件クリアが難しいケースも。
それ以外の帰化要件
ここからは残りの要件について。
まずは喪失要件から。
これは帰化した時に母国の国籍を喪失する必要があります。
日本は二重国籍を禁止しているためです。
提出する書類は、大使館から国籍証明書や中国なら領事証明という書類を入手します。
ベトナムなど国によっては、帰化許可の前に国籍離脱の手続きが必要なケースも。
関連記事:ベトナム人の日本国籍取得
ベトナムの方が帰化するときは、普通の方より時間が必要になったります。
日本国憲法の遵守が必要
ラストは思想要件です。
これは日本国憲法の遵守が必要であることです。
本申請の時に宣誓があります。
関連記事:帰化申請の宣誓書について
あとは暴力団などの反社会的勢力に所属していないこと。
他にも特定の政治団体の幹部が親族に居る場合も厳しくなります。
日本人と結婚していれば帰化は簡単か?
よく言われますし、聞きますが…
実際の所は日本滞在年数が緩和されるだけで全然簡単では無いです。
以上が日本人と結婚した人の帰化申請でした。
ここまでお読みいただきありがとうございます。